正社員求人の嘘を見抜く実践ガイド
多くの転職希望者が直面する問題の一つは、正社員の求人票に書かれた情報の信頼性に関する不安です。
企業が自社をアピールするためにポジティブな言葉を使用し、実際の職場環境とのギャップを見逃すことがあります。
この記事を読むことで、求人票に書かれた嘘を見抜くための実践的な方法と、信頼性の高い情報を得るための手段を理解することができます。
また、これらの方法を実行することで、自分に合った正確な情報を得ることができ、より良い転職の判断ができるようになります。
具体的な解決策は以下の通りです。
大手人材紹介会社の転職エージェントとして法人営業と、労働基準法や職安法を遵守し、求人票制作経験が4年以上ある私がお伝えします。
応募者の増加や採用率の向上に貢献し、顧客企業に対しても法令遵守のアドバイスを行っています。
嘘を見抜くための実践的な方法することで、自分に合った正確な情報を得ることができ、より良い転職の判断ができるでしょう。
正社員雇用の求人票の特徴と見方
一般的には、雇用形態に正社員と記載があれば正社員雇用の求人票に該当します。注意すべきなのが、試用期間のみ契約社員という表記。
試用期間が終了したら、正社員登用できるのか注意しなければなりません。通常は、正社員登用率や登用実績ありと記載されています。
正社員雇用で想定していたはずが、契約社員での内定となると転職活動の時間が無駄になってしまいます。
例えば、正社員登用率100%といった実績の記載があれば、試用期間のみ契約社員雇用でも安心です。
雇用形態の種類
転職サイトやハローワークに記載される雇用形態は、主に以下の通りです。
正社員
正社員の一般的な定義は、「労働契約の期間の定めがない」「所定労働時間がフルタイム」「直接雇用」に該当する労働者を正社員と呼びます。毎月一定の収入が保証され、社会的信用度が高いのが特徴です。
ただ、自身が望まない転勤や異動の可能性があるため、希望しない仕事を任せられる可能性があります。
契約社員(有期労働契約)
契約社員は、「有期労働契約」を結んだ社員です。
労働基準法にて、一定の場合を除いて「原則として最長3年」と定められています。契約社員から正社員登用の可能性がある場合は、必ず正社員登用実績があることを示されています。
業務委託
業務委託とは、企業が個人に業務の一部を委託し、業務の成果物を提供することで企業から報酬が支払われる働き方です。
業務の進め方は受託者に委ねられます。時間的な制約もないので自己裁量で仕事を進めることができます。
派遣社員
派遣社員とは、派遣会社と雇用契約を結んで、実際に働く企業で就業する働き方です。
ひとつの会社に長く留まることなく、定期的に働く環境を変えることができます。業務委託に比べて、責任のある仕事をまかせてもらえないほか社会的な信用が低いのが特徴です。
パート・アルバイト
パートとアルバイトに明確な違いはありません。パート・アルバイトとは、通常の労働者よりも1週間の所定労働時間が短い労働者のことを指します。
働き方を自分で決めることができますが、収入が少なくなる傾向にあり、派遣社員と同じく社会的な信用が低いです。
嘘の求人票がもたらすリスク
嘘の求人票によって、入社後のギャップや不満からくる労働者の離職につながる可能性があります。嘘の求人票の一例を紹介します。
正社員募集の求人票が契約社員採用だった例
募集喚起として正社員募集と偽った求人票に応募してしまい、条件通知書には契約社員での採用でした。
求職者は条件通知書に契約社員採用だと気づかずに入社承諾してしまい、入社後に契約社員雇用だと発覚した。そんな例は嘘の求人票です。
教育制度が不十分だった例
職種未経験求人に応募する求職者は、未経験のため入社後の研修や教育制度が設けていることを期待します。
求人票に「自己成長をサポートする環境」と書かれているにもかかわらず、実際には自分で仕事を通して覚えていかなければならず、研修や教育制度が不十分だった場合、この例も嘘の求人票です。
求人票に明示すべき労働条件は追加されている
厚生労働省から、2024(令和6)年4月1日施行 改正職業安定法施行規則として、求職者に対して明示しなければならな労働条件に、以下の事項が追加されました。
「変更の範囲」とは、雇入れ直後にとどまらず、将来の配置転換など今後の見込みも含めた、締結する労働契約の期間中における変更の範囲のことをいいます。
求職者にとっては、今回の施行により求人票の明示項目を正しく判断しやすくなります。
例えば、有期労働契約に該当する契約社員は、契約更新の有無、契約期間の上限を適切に把握することができます。
引用:厚生労働省 2024(令和6)年4月1日施行 改正職業安定法施行規則
求人票に騙されないための方法
求人票に書かれた言葉の裏には、実際とは異なる側面があるかもしれません。
企業は求人票を使って自社を魅力的に描写しようとしますが、その中には実際とは異なる表現が含まれることがあります。
求人票の文章から、自分が募集企業で働く姿を想像しましょう。想像の範囲に過ぎないですが、悪い想像も搔き立てることで、早期退職のリスクも避けられる可能性が高くなります。
挑戦的な環境で成長できる文言がある例
「挑戦的な環境で成長できる」という文言がある場合、実際には過度な業務負荷やストレスがある可能性があることを考える必要があります。
自身が転職で土日祝日が確実に休める、1日の残業時間はなく定時退社を希望する場合は挑戦的な環境が適しているとは思えません。
アットホームな職場と文言がある例
アットホームな職場が指すのは少人数の零細企業です。社員を家族のようにみなして休日もイベント参加や仕事を強要することも想像できます。
アットホームな職場で心理的安全性が高い反面、要求も高くなるかもしれません。
Twitter(X)のリアルな声
Twitterや口コミサイトなどを活用することで、実際に嘘の求人に騙されてしまった経験談を知ることができます。
求人票だけでは得られないリアルな情報を提供してくれますので、特定企業の求人票に虚偽はないか、調べてみましょう。
正社員ではなく無期雇用派遣だったケース
応募喚起を目的とした雇用形態の虚偽です。
正社員ではなく業務委託だったケース
正社員ではなくバイトだったケース
嘘の求人を出していると知りつつも募集を募ることもあります。
企業研究のポイント
求人票だけでなく、企業のウェブサイトや口コミサイトなどをチェックすることが重要です。ウェブサイトの社員インタビューの情報を知ることで、入社後の仕事のイメージをすることができます。
企業のウェブサイトの情報は求人票には載っていない場合もありますし、より詳細な情報を提供してくれます。
また、公式SNSではリアルな社員の日常や取り組みなどが見られることがあります。
採用担当者への質問テクニック
採用担当者に直接質問することで、より詳細な情報を得ることができます。
例えば、「試用期間のみ契約社員ですが、その後正社員登用はできるのでしょうか」という質問をすることで、採用担当者から具体的な情報を引き出すことができます。
【まとめ】正社員求人票の嘘を見抜くための鍵
求人票には企業が自社をアピールするための情報が記載されていますが、その中には実際とは異なる表現が含まれることがあります。
そのため、求人票だけではなく、他の情報源も確認することが重要です。企業のウェブサイトや口コミサイトなどを活用することで、よりリアルな情報を得ることができます。
また、面接時には採用担当者に質問をすることで、より詳細な情報を引き出すことができます。
これらのポイントを抑えることで、求人票の内容を客観的に見極め、自分にとって最適な職場を見つけることができるでしょう。